成年後見制度ってどんな制度?
高齢に伴う認知症の方や知的障がい・精神障がいのある方など、判断する能力が不十分な方を法律面で支援・保護する制度です。判断する能力が低下すると、サービスや介護を含めた施設を利用するための契約を締結するなどの法律行為や財産の管理をご自身で行うことが難しくなることがあります。このような方たちに代わって、契約を締結したり財産管理を行うなどのサポートをするための制度が成年後見制度です。
例えば・・・
♦物忘れがひどくなり、高額な布団の購入や必要のないリフォームの契約をするようになった。
♦アパート経営や駐車場経営をしているが、認知症のために不動産の管理が困難になった
♦不動産を売却する必要があるが、認知症のために契約の判断が難しい。
♦知的障がいの息子がいる。親である自分に万が一のことがあったとき、息子の将来が心配だ。

ご本人様に判断能力があるのかないのかにより、主に2つの制度が用意されています。

法定後見制度

法定後見制度は、現在、判断能力が低下している場合に、ご本人様に代わって後見人、保佐人、補助人を選任して必要な支援を行います。
後見人、保佐人、補助人の選任申立は、家庭裁判所に対して行います。
⑴ 後見
後見類型は、精神上の障がい(認知症・知的障がい・精神障がい等)により判断能力を「欠く状況」にある方が対象となります。「常に」ご自身で判断して契約締結や財産管理などの法律行為をすることができない場合です。この場合には、家庭裁判所が成年後見開始の審判をしてご本人様のために成年後見人を選任します。
⑵ 保佐
保佐類型は、精神上の障がい(認知症・知的障がい・精神障がい等)により判断能力が「著しく不十分」な方が対象となります。簡単なことであればご自身で判断できるけれど、法律で定められた一定の重要な事項については、援助してもらわないとできないという場合です。この場合には、家庭裁判所が保佐開始の審判をしてご本人様のために保佐人を選任します。
⑶ 補助
補助類型は、精神上の障がい(認知症・知的障がい・精神障がい等)により判断能力が「不十分」な方が対象となります。ほとんどのことはご自身で判断できるけれど、難しい事柄については援助が必要な場合です。この場合には、家庭裁判所が補助開始の審判をしてご本人様のために補助人を選任します。

任意後見制度

任意後見制度は、ご本人様の判断能力があるうちに、将来の代理人を定めておいて、判断能力が低下した場合に備えて「任意後見契約」を締結しておきます(公正証書)。ご本人様の判断能力が低下した後に、任意後見人が、任意後見契約で定めた事務について、家庭裁判所が選任する「任意後見監督人」の監督のもと、ご本人様を代理して契約など法律行為を行うことによって、ご本人様の意思に従った適切な保護と支援を図ることが可能となります。将来、誰を任意後見人として選ぶのか、どのような支援を受けるかをご本人様自身で自由に決めることが可能となります。
ご本人様の生活状態や健康状態によって、次の3つの利用形態があり、ご本人様のご意向によって選択をしてもらいます。
⑴ 即効型の任意後見契約
契約締結後、直ちに家庭裁判所に任意後見監督人の選任申立てを行う形態の契約。認知症等の状態にあるご本人様でも、契約締結時点において意思能力がある限り、任意後見契約を締結することが可能であり、公正証書作成後は、直ちに任意後見を開始する形態となります。
⑵ 将来型の任意後見契約
ご本人様の判断能力が低下する前における生活支援・療養看護・財産管理事務を行うことを内容とそうる任意代理の委任契約を締結せず、任意後見契約のみを締結し、将来判断能力が低下したときに、任意後見人の保護・支援を受けることを契約内容とするもの。将来の安心のための形態となります。
⑶ 移行型の任意後見契約
通常の委任契約と任意後見契約とを同時に締結し、当初は通常の委任契約に基づく見守り事務、財産管理等を行い、ご本人様の判断能力が低下したときに任意後見に移行して、後見事務を行う形態。