表題部のみ登記されている土地を相続しましたけれど・・・①

登記事項証明書の表題部のみに記載があり、権利部(甲区および乙区)の記載がされていない土地について、相談を受けることがあります。

今回は、相続の登記についてのご依頼の中で、一筆だけ「表題部のみ登記されている土地」があり、表題部所有者欄には被相続人のお名前のみが記載されていました。土地には区画整理による換地処分の記録があり、換地処分の際に、表題部の登記だけされて現在に至っているようでした。この段階では、登記簿に土地の表示(土地の所在や面積、地目と所有者)は記載されていますが、権利部に「所有権」が登記されていません。登記簿の外枠はできているけれど、権利の中身が入っていない状態ということになります。

そこで、改めて登記簿の権利部に「所有権」を登録することが必要となり(所有権は、権利部のうち「甲区」に記載されます)、この所有権の登録を「所有権保存登記」といいます。

「所有権保存登記」の申請ができるのは、①表題部所有者又はその相続人(不動産登記法第74条1項1号)、②所有権を有することが確定判決によって確認された者(同法第74条1項2号)、③収用によって所有権を取得した者(同法第74条1項3号)のみであることが、法律に定められています(マンション購入者はその例外として所有権保存登記の申請ができることも、法律に定められています)。

今回のご依頼者は、前記「①表題部所有者又はその相続人」にあたるので、表題部所有者から相続されたことを明らかにするための戸籍類や遺産分割協議書、表題部所有者による納税証明書など、必要書類の添付をして、直接、相続人でいらっしゃる依頼者名で所有権保存登記を申請することができました。


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