依頼主様から、亡くなられたお父様の相続についてのご相談を戴いていたところ、お父様の名古屋市のお住まいについて、建物はお父様の名義でしたが、建物が建っている土地の名義が、お父様ではなくお祖父様であることが判明致しました。昭和40年代にお祖父様が亡くなられた際に、お祖父様の相続人全員の遺産分割協議では、お父様がこの土地を相続されることで話はまとまったのだそうですが、名義変更の手続きをされていないとのことでした。
依頼主様のご心配は、「祖父名義のこの土地を自分の名義にすることができるのかどうか」と、「祖父名義のこの土地は、父の財産として相続税の申告をする必要があるのかどうか」の2点でした。前者については、幸いにしてお父様のご兄弟やそのお子さま方のご理解を得ることができ、お時間と費用はかさんでしまいましたが、依頼主様の名義にすることはそれほどの問題はありませんでした。
後者については、「お父様が相続される」という遺産分割協議が調ったのであれば、お祖父様が亡くなられた時点から、対象の土地は名義にかかわらずお父様の財産ですので、お父様の相続財産として申告をされなければ漏れが生じてしまいます。
相続税の申告には期限がありますが、相続登記の手続きについては期限が設けられていないため、手続きをされずにそのままとなっている不動産は、かなりの件数存在するようです。最近は、ご家族についても多様な形態がみられますし、今回の依頼主様のように、相続人の方々のご協力がスムーズに得られるお話ばかりではない印象を受けております。
「早めの手続き」「遺言書などの事前の対策」は、平凡ですが、相続における不安を最小限にできる方法であると感じます。